東海、近畿、四国、九州まで幅広いエリアで、甚大な被害をもたらすといわれる南海トラフ地震。実際に地震が発生した場合、どういった被害が想定されるのでしょうか?
南海トラフ地震は、これまで100年から200年おきに発生しており、危機感を持つのが難しいかもしれません。ただ、地震の多い日本国内でも最大クラスの地震であり、地震について理解しておくことは大切ですよ。
大阪府城東区にお住まいの方向けに、同区の被災予測のレポートもあわせてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
南海トラフ地震は、東海地方から近畿、四国、九州まで広範囲に甚大な被害が予想される地震です。たびたびテレビやネットで話題になるほか、小規模な地震が発生するたびに「南海トラフ地震の予兆か?」といった話も聞こえてきます。
まずは、いつかは発生するこの巨大地震に備え、全体像を詳しく見ていきましょう。
発生場所
そもそも南海トラフとは、静岡県伊豆半島から四国の沖合にかけて南西にまっすぐ伸びる海溝と、そこから東海・近畿・四国・九州沿岸に広がるなだらかな地形を指しています。
中国大陸から繋がる巨大なユーラシアプレートと、年間3〜4cmずつ移動されると推定されるフィリピン海プレートがぶつかり合う場所で地震が発生します。
南海トラフ地震のメカニズム
南海トラフ地震は東日本大震災と同様、沈み込むプレートに引き込まれる大陸プレートが地すべりを起こす際に発生します。南海トラフは非常に広範囲に及ぶため、どこかが地すべりを起こすと連鎖的に地すべりし、巨大地震に繋がる危険性が高いのも特徴です。
南海トラフでは、100年から200年周期で大規模な地震が発生しています。現在、70年ほどの空白域があることから、巨大地震のリスクが高まっているといえます。
予想される被害の全体像
南海トラフ地震が発生すると、まずは大きな揺れに襲われます。気象庁では、静岡県から宮崎県沿岸までの広範囲に渡り震度7の地震が襲い、関東を含む周辺地域でも震度6強もしくは6弱の揺れを想定。
さらに、海沿いにおいては広範囲に渡り高さ10m以上の巨大津波の襲来が危惧されています。
日本全体への影響
地震が与える日本全体への影響について、内閣府による「南海トラフ巨大地震の被害想定について(第二次報告)~ 経済的な被害 ~」を参考にすると、被災地では合計100兆円近い被害が発生すると試算しています。
レポートでは、サプライチェーンの寸断や生産性の低下により経済の落ち込みも大きいと指摘。ただし、建物の耐震化率を100%にするなど、耐震対策を進めることで被害を半減することができるといわれています。
大阪市の危機管理室では独自の調査により「南海トラフ巨大地震被害による津波浸水想定等について」を公表。内閣府のデータと大阪府が独自に収集した、防波堤の情報や地盤調査結果などをもとにレポートが作られました。
その内容について、詳しく見ていきましょう。
国の調査と異なる!大阪府はより深刻な被害を想定
大阪府のレボートの特徴は、国の予想をはるかに上回る被害を想定していること。特に津波については、大阪市全域に渡り広く浸水すると予想している点には驚くはず。
どちらの情報を信じるべきかは自分次第と言えそうですが、より大きな被害を想定して準備しておくことをおすすめします。
地震の規模と「津波、液状化」による被害
大阪府では、大阪駅や梅田駅、京セラドームを含む大阪市の南側一帯の津波被害を想定。加えて、大阪府城東区の京橋駅付近も川を逆流した津波による被害を想定しています。
さらに、液状化の影響についても内閣府の想定より広範囲、大阪市のほぼ全域に渡り液状化すると予測。実に7万棟以上の建物が、液状化により全壊すると推計しています。
大阪府における人的被害の想定
南海トラフ地震における人的被害については、主に地震の揺れによる被災と津波による被災が考えられ、最悪のケースでは13万人を超える死者が出るとも予測しています。
そのほとんどが津波による被災とされており、地震後の迅速な避難により10分の1以下に被害を抑えられるとレポートで示している点も注目です。
ライフラインへの影響と復帰の見込みについて
ライフラインへの被害も甚大だと予想しています。被災直後には、大阪府内の94%で断水が発生する可能性があるそうです。
ただし、上下水道は被災1日で45%が復旧、40日後にはほとんどの断水が解消されると想定しており、対策が進んでいることが伺えます。また、停電の影響により半数の基地局が機能停止することで、スマートフォンが繋がりにくくなることも想定されています。
これまでご紹介したように、大きな被害が想定される南海トラフ地震。大阪市城東区では「第1章 災害の想定」を作成し、城東区への影響と備えについて示しています。
城東区の被害予測
レポートによると、城東区では地震の規模を震度5弱から6弱と想定。約1500棟の建物が全損すると想定しています。予想される死者数はこれまでのところ3人と少ないものの、津波などの被害に備え、早めの避難が肝心です。
城東区が呼びかける「南海トラフ地震への対策」
城東区は一帯の標高が低く、水害に弱い土地とされており津波などの水害に普段から備えるよう呼びかけています。城東区の多くのエリアは海抜1m未満であり、津波が防波堤を越えた場合、またたく間に一帯が水没する可能性があり注意が必要です。
地震発生後は、少しでも早くビルやマンションの屋上に避難するようにしましょう。
ここまで、近いうちに発生するといわれる南海トラフ地震について詳しく見てきました。南海トラフ地震では、大阪府は全域に渡り大きな被害が出ると予想されています。
中でも、津波には十分な警戒が必要です。
大阪市城東区では京橋駅周辺を中心に、広く津波被害が出ると予想されており、内陸だからと安心せず地震発生後は高いところに避難するようにしましょう。
参考となるレポートもいくつかご紹介したので、詳しく調べたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
2019.09.15
お気軽にお問い合わせください!
0120-20-3355