
バルコニーやベランダを設置する目的とは
一戸建てのバルコニーやベランダを設置する目的とは何でしょう? 最初に思い浮かぶのは、洗濯物や布団を干すスペースです。 自然の恵みの太陽光で干すとお金がかからず、気持ちいい仕上がりに。 紫外線による殺菌効果が期待できるでしょう。 パリッとした仕上がりは、繊維に残っている水分量が少ない証。 細菌の増殖を抑え、おひさまのにおいが感じられるような気持ち良さが魅力です。 洗濯物や布団を干す他にも、エアコンの室外機置場や一時的なゴミの保管場所という活用方法も。 外でありながら家の一部のような空間は、一戸建て住宅の間取りを考えるにおいてとても重宝しますし、必要不可欠。 ではなぜ、最近では設置されないケースが増えているのでしょうか?
デメリットその1 ~掃除が大変~
バルコニーやベランダには砂やホコリが溜まるもの。
鳥のフンや虫の死骸などを長期間放置してしまうと汚れが取れなくなり、腐食の原因になることも。
そのため、家の外と言っても室内と同じぐらい頻繁に掃除をする必要があります。
ただ、普段はあまり使用しない場所でもあり、バルコニーやベランダを設置しなければ掃除をする必要もなかったように感じられるかもしれません。
特に排水溝などはゴミや落葉などが溜まりがちです。
排水溝が詰まると水はけが悪くなってカビや苔が発生。
見て見ぬふりができないことから、家事負担を感じて敬遠される方が増えています。
デメリットその2 ~メンテナンスが必要~
バルコニーやベランダは、雨風にさらされる外部のため、防水対策を施さないわけにはいけません。
雨どいや排水設備も必要となり、多くの工程とコストが必要となります。
さらに、定期的なメンテナンスも必要となり、防水対策については高コストに。
建築時にバルコニーやベランダを設置しないケースを想定していない場合、結果的にバルコニーやベランダをつけたものの使用せず、後悔される方も多いのです。
バルコニーやベランダを設置する代わりに、浴室乾燥機やホームランドリーなどにコストを費やすこともできたかもしれません。
そんな後悔をしないためにも、設計段階で、バルコニーやベランダが「あるプラン」と「ないプラン」についてコスト面を比較してみることをお勧めします。
デメリット3 ~空き巣の侵入経路⁉~
バルコニーやベランダの近くにカーポートや物置などがあると、そこを足掛かりに空き巣などが侵入し、犯罪につながる可能性があります。
特に、外からの視線を遮るように塀などが設置されているケースでは、不審者が侵入しても外からは見つかりづらく、危険性が高まります。
このような事態を回避するためには、足場となってしまうものを置かない、バルコニーやベランダの手すりを外からも認識しやすい柵形状のものにするなど、細心の注意を払い防犯対策を施す必要があります。
デメリット4 ~洗濯物や布団を外に干す人が減っている~
そもそも、花粉やPM2.5、黄砂などのために洗濯物を外に干すのをやめた人や、共働きで夜しか洗濯物を干せない人も多く、外に干す人自体が減っていると言われています。
最近は、室内干しニーズに合った芳香剤の開発が進化し、「洗う、干す、取り込む、アイロンがけ、たたむ」までコンパクト動線で行える家事室や室内干しスペースの需要が増えています。
布団も、昔のように外には干さず、布団乾燥機を使用される方も多いでしょう。
つまり、バルコニーやベランダを設置しても結局は洗濯物も布団も干さず、ほとんど使用されていないことが多いのです。
メリットその1 ~庭や、空間の拡がりが感じられる場所として~
一方、庭が欲しかったものの、広い土地が取得できずに、2階リビングとつながる庭のような空間としてバルコニーやベランダを活用される方もおられます。
限られた敷地を活かす狭小3階建や都市型住宅では、バルコニーやベランダとリビングなどの空間がつながれば、開放的な気分を感じられるスペースが拡がります。
メリットその2 ~アウトドアリビングといった新しい使い方が人気~
バルコニーやベランダでお茶を飲んだり、子ども用のビニールプールを置いて水遊びをしたり、お家キャンプを楽しんだり。
コロナ渦の今、外のようで家の中のような、安心感のあるバルコニーやベランダのアウトドアリビング的な使い方が大人気です。
そのためにも、バルコニーやベランダに水栓やコンセントが設置されていることが重要。
ちょっとした工夫で、多目的で多機能なスペースとして活用することができます。
何のために設置する⁉ バルコニーやベランダは、設置する目的を明確に
新築をする際や注文住宅を建てる際は、どの空間を計画するにしても、「決まりだから」「みんなが設置しているから」と流されず、「なぜそれが必要なのか」を意識して計画することが重要です。
バルコニーやベランダも同じで、設置するならするで、建築時とそのあとのメンテナンスコストまで計画しましょう。
そのうえで、アウトドアリビングとして積極的に活用するなら、必要に応じて水栓やコンセントなども設けましょう。
光や風に親しめるプラスアルファの空間も楽しいですよ。
設置するメリット、デメリットは、その家に住むご家族次第。
計画段階でしっかりと話し合い、後悔のない家づくりを行いましょう。