新築やリフォーム・リノベーションを計画する際、夏の暑さや冬の寒さを回避することができる、快適な家づくりは重要課題です。
重視すべきは、住み心地に直結する住宅性能。
なかでも近年、注目されているのが「断熱性」です。
断熱性の高さを表す指標として「断熱等級」と言うものがあるのをご存知ですか?
今回は、2022年に新設された等級についてご紹介すると共に、2025年以降の省エネ基準の改定についてもご紹介。
ぜひこの機会に、住まいの「断熱等級」について考えてみましょう。
住み心地を左右するのは、断熱性能。
正式名称は「断熱等性能等級」といい、住宅の断熱性能がどのくらいかを示す指標のことを言います。
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に規定された省エネ性能を表す等級のことを示したものであり、国土交通省が制定。
「断熱等性能等級」を略して、「断熱等級」と呼ばれています。
「断熱等級」はこれまでに何度も更新されており、2022年4月1日時点では5つのランクが設定されていましたが、戸建て住宅については、2022年10月1日より新たに等級6、7が新設されました。
その背景としては、日本の住宅の断熱性能の低さがあります。
これまで最高等級とされていた断熱等性能等級4は1999年に制定された基準ですが、世界的には高い基準とはいえませんでした。
そこで戸建て住宅の新たな基準として2022年に等級5~等級7が新設。
世界基準を満たす、快適な一戸建て住宅を目指すことになります。
特に等級5は「ZEH※基準」相当とされ、エネルギー収支をゼロ以下にする住まいのこと。
一戸建て住宅に住むそれぞれの世帯が、使うエネルギーと、太陽光発電などによってつくり出すエネルギーをプラスマイナスゼロにすることで、地球にやさしい暮らしを実現。
さらに、そのZEH基準の上をいく等級も2022年に導入されるなど、住宅の断熱性能を追求する取り組みがなされています。
※net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
断熱等級を上げるためには、高性能な断熱材や高精度な施工が必要となります。
もちろん、コストもアップしますが、そこまでして断熱性能を上げるのは、コストに見合う効果があるからです。
メリットの一つ目が、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるなど、室内環境がより快適になること。
二つ目が、断熱等性能等級5以上だと長期優良住宅※に認定されることで補助金を受けられる可能性があること。
※長期にわたり良好な状態で使用するための措置の講じられた優良な住宅
長期優良住宅認定によって受けられるメリット
●所得税における住宅ローン控除での優遇
●投資型減税を受けられる
●不動産所得税の減税
●登録免許税の税率引き下げ
●固定資産税の減税期間の延長
●住宅ローン金利の優遇
●地震保険料の割引
●地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられる場合がある
減税や住宅ローンの優遇など主に金銭面での優遇措置が多く存在します。
詳しくは、依頼先の工務店までご相談ください。
住宅の断熱等級を上げることで、手足の冷え、のどの痛み、気管支喘息、アレルギー性皮膚炎等の症状が改善されるといった傾向もみられるなど、うれしいメリットも。
また、住宅全体の温度を一定に保ちやすくなるので、部屋ごとの気温差などにより血圧や脈拍が急激に変動することで起こるヒートショックも抑制できるとも言われています。
心臓や血管に負担をかけるヒートショックは、脱衣所や浴槽内での発生が多く、場合によっては心筋梗塞や脳卒中といった大事故につながることも。
外気の影響を受けにくい断熱等級の高い家づくりを行うことで、健康改善が期待できるなど、人生100年時代を生きる私たちにとって重要なポイントだと言えるでしょう。
さらに、2025年以降、断熱等級3以下の新築は建築不可となり、2022年3月まで最高等級だった等級4が最低等級に。
さらに2030年にはさらに省エネ基準の水準が引き上げられ、その上の断熱等級5が最低等級になると予想されています。
近年の、地球温暖化ならぬ地球沸騰化という言葉も生まれる猛暑日の増加や、将来的な建物の資産価値も考えると、今後、新築物件を建てる場合は、等級6以上である「HEAT20」G2レベルを目指すべきでしょう。
2023.08.22
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